楽しみの裏側

免許をとってからしばらくの運転は人間にとって未知の楽しい体験であることでしょう。しかし、しばらくすると楽しい乗り物であるはずの運転が、なぜか面倒くさく退屈なものになってしまいます。走らせる喜びを失った車であるからなのでしょう。自分が全力疾走しても追いつくことのできない、速く動く乗り物を自ら動かすことができるという体験は楽しみを提供してくれます。一方で、衝突やスリップなど事故のリスクもまた感じさせることでしょう。この楽しみと恐怖は実は表裏一体のものではないかと思います。

時速5kmの程度の速度で歩いている人と、高速道路では100kmもの速度で移動できる車では、その衝突の大きさの違いは計り知れないでしょう。ぶつかったときの影響は小さくなるように研究されているものですが、根本的に解決できてい問題ではありません。

ここで、楽しくない車が登場することになってしまいます。自動車メーカーは、より多くの楽しみを提供すること以上に危険を避けることができる車を作ることが求められるからです。自動車の誕生以来、常につきまとってきた事故との戦いは終りが見えません。事故の衝撃や運転士の操作ミスによる逸脱を最低限にするために、様々な自動車が開発されてきました。このため、操作感覚に乏しく、生身の体でも安心できる動きを追求していったのでしょう。リスクを取り去ったと同時に楽しみも取り去られたのだと思います。

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